■HIGH ROLLER 104ML
1.紹介と特徴

ハイローラーはズバリ、多様性のある10ftというコンセプトで開発を行った。多様性とは何か、つまり、あらゆるシーンに対応しようというものである。これは僕の釣りが多様化したことにある。最近の僕は活動場所をホームの東京湾だけでなく、全国に広げている。そこでは港湾のストラクチャー帯から干潟か河川の大場所の釣りまで、様々な場所で釣りをすることが多い。今まではそのような場所において、イブランからネオンナイト、ナイトホークという3ラインナップの使い分けを提案していた。また、それ以上長いロッドが必要な場合に、RED中村主導で開発が進んだポデローサを主に使うことが多かった。しかし、ADモデルになり、ポデローサが、磯でのパワーファイトに特化していった結果、僕が使う10f台のマルチロッドという必要性が生じてきたことにアピアが対応したのがこのロッドの誕生経緯である。

僕が使う10ft台のシーバスロッドとは何か。それは3つの大きな要点に集約する。

①飛距離
②キャストできるルアーウェイトの幅の広さ
③操作性
である。

飛距離については説明不要であろう。アピアの誇るW.C.W.技術により、細くて強靱なカーボンブランクスを用いれば、キャスト時において非常に速いスイングスピードを誰もが簡単に出せ、ルアーを遠くまで運ぶことができる。

肝心なのは、その飛ばせるロッドが対応できるルアーのウェイト幅である。高弾性カーボンのロッドなら、巷にいくらでも発売されている時代、それらのロッドの多くはあるウェイトに対して、非常に高いキャスタビリティを発揮する。しかし、そのウェイトから外れた重さになればなるほど、そのキャスタビリティが低くなる。適合ウェイトがピーキーなロッドは状況に対しての対応性が低くなり、遠征時や簡単に車に戻ってロッドチェンジができない大場所での釣りには向かなくなる。

そこで開発においては、高弾性カーボン+W.C.W.ラップの強さと軽さをベースに、適合ウェイトに幅を出す低弾性カーボンの何種類かを適正に各ロッドのセクションに配置し、幅広いウェイトのルアーを投げきれるロッドを目指した。適正ウェイトとしては16gを中心に据え、6g~40gと幅のあるウェイト適正を搭載させることに成功した。

そして、それらの他種類のルアーをキャストできる事が可能になった結果、ルアーにアクションを付けるシーンが増えることにも対応した。その様々なアクションに全て対応するために、リールシートの位置、バッドエンドの長さ、グリップの重量配分に非常に長い時間を掛けてバランスを詰める作業を行った。その結果、10ftクラスのロッドとは思えない持ち重りの軽さを実現し、ルアーの引き抵抗やジャーキングなどのアクションを加えた加重がかかった状態でも、先重り感を感じない設計となっており、何時間ジャーキングをしていても疲れにくいロッドになっている。

2.使い方紹介

このロッドの多様性は、結果として様々なキャスト方法にも対応する事が可能になっている。ルアーのタラシを短くして反発力でキャストする通常のオーバーヘッドキャスティングでも16gを中心に適正ウェイトの全てのウェイトで高度なアキュラシーを実現している。また、飛距離に勝るペンデュラムキャストにおいても、全ての適正ウェイトで確実な飛距離を出す。

特に適正ウェイト範囲の軽い部分ではより顕著に飛距離がしっかり出るし、重い部分ではブランクスの破損防止の観点からもペンデュラムキャストが向いている。

リールの足を挟む指は、薬指と小指を想定した。この位置で持つと、持ち重り感がなくなるため、トゥイッチ、ジャーキングなど様々なアクションを疲れずに行うことができる。

■Eve Run 610

イブラン610。このロッドは僕にとっての原点である。東京湾奥がストラクチャーの宝庫だった1990年代。台船や桟橋に着いたスズキが僕のターゲットだった。そこでたくさんの魚を釣るために必要な要素は3つ。アキュラシー、アクション、パワー。
まずはアキュラシー。ストラクチャーゲームでは10cm着水点がずれたら話にならない。その為には胴調子のロッドではなく、先調子のショートロッドが向いていた。そしてその先調子のロッドで細かいルアーアクションが行えるように、細くて張りがあって、だけど繊細さもあるティップが必要だった。そして80cmオーバーの魚がヒットしてもストラクチャーに潜られないで浮かせることのできるパワーを持ったロッド。それがイブランの開発に課せられた使命だった。初代イブランはその役割をきっちりと果たした。そして今回のADイブランはその役割をきっちりと果たしつつ、時代の移り変わりとともに台船や桟橋が減り、オープンエリアが増えた湾奥で活躍できるように、やや全体的にマイルドな仕上がりにしている。ショートロッドにはロングロッドにはない楽しさがある。原点の頃の僕が見たビジョンが何であったか、このロッドを手にした人ならそれを共有できると思う。

 

■CROSS IMPACT 72ML

クロスインパクト、それは「交差する衝撃」。この名前を付けたのは一つの願いがあった。過去のシーバスシーンにおける胴調子ロッドの歴史を塗り替えたのはまさしくアピアであった。
先調子可変テーパーロッド「ネオンナイト」の出現により、多くのロッドメーカーが先調子へと舵を切り始めた頃、僕自身は胴調子ロッドを見直す作業をしていた。胴調子の持つ吸収性、飛距離性能など、多くの利点を存分に生かしたモデルをアピアの最先端技術によってアピア自身から送り出したいと考えていた。先調子に拘るあまり目を瞑ってきた性能に対し、アピアの技術で二律背反を実現することに確信を得たからだ。
2年にも及んだ開発の結果、7フィート2インチとしては驚異的な反発力を持ち、飛距離を稼ぎながらも魚を掛けた後は綺麗な弧を描いて魚の引きを吸収してしまうブランクスができあがった。ウェーディング、ボートシーバス、バイブレーションゲームなど、胴調子ブランクスの性能でクロスインパクトを楽しんだ人は多いと思う。それをさらに4軸+W.C.Wの技術で焼き直したものがADのクロスインパクト72MLである。万能サブロッドの大エース、位置づけは今も変わらない。

■Neon Knight 85LX

ネオンナイト。この言葉を聞いて過去に思いを巡らせる釣り人は多いと思う。ナイロンライン全盛期、突如として発表された風神ゼータ83Lネオンナイト。アピアお得意の飛距離重視ブランクスに、超鬼掛けティップを搭載した業界初の可変テーパーシーバスロッド。このロッドの登場により、以後発売される多くのロッドがネオンナイトの系統となっている事に異議を唱える人は少ないだろう。
そのネオンナイトが5年の熟成を経て風神ADとして登場した。今回の開発にあたり前作と同じ開発担当となった僕の思いは一つだけ。「あの時よりはるかに素晴らしい現在の素材技術でネオンナイトをさらに仕上げる」ということだけだ。
そして飛距離重視、超鬼掛けティップというコンセプトをさらに突き詰める。開発の方向性はこのロッドの実績が正しさを表明しているのでそんなに苦労はなかった。そして素材の進化は圧倒的な軽さをもたらし、鬼掛けティップを超える超鬼掛けティップを実現した。
正常進化したこのロッドを持つオーナーは、スズキ釣りをPE全盛期の時代へと切り開いたアピアのスーパーロッド、ネオンナイトの後継者だ。


■Night Hawk 91ML

年々入ることができる釣り場が減り、一方で釣り場の混雑が増える東京湾奥。魚も明らかに釣り人のキャスト範囲というプレッシャーから遠ざかる傾向がはっきりと出ていた。そのキャスト範囲外にいる魚を捕るというコンセプトからナイトホークは生まれた。
しかしながら遠くに飛ばせばいいってものではない。東京湾奥の魚はやっぱりシビアである。遠距離ピンポイント爆撃。それがナイトホークの開発テーマとなった。ブランクスはすぐさま9フィート1インチに決まった。僕自身の腕力で片手でもジャークをしたり、バックハンドで投げたりする事ができるレングス、それがこの長さだった。その中で非常に細かい調整を繰り返した。飛距離を出すためには柔らかくしたい、正確性を出すためには硬くしたいという二つの条件を何度も何度も作り直して前作は完成し、お陰様で大好評を得た。
そして今作には、ネオンナイトの売りであった超鬼掛けティップをナイトホークにも搭載した。4軸カーボン技術の発達により、飛距離はさらに伸びたうえに、アキュラシー(正確性)もかなり良くなった。そして魚が掛かった後はティップが針先を掛け、ロッド全体が曲がるようになって魚の引きを受け止めてくれて、僕自身非常にバラシが減ったのだ。正当なる進化を遂げたナイトホーク91ML、2012年も僕のメインロッドとして日本中で活躍するだろう。


■Shallow Finess 96LX
初代ネオンナイトが発売された時、当時のスズキ釣りの世界は半信半疑だった。固定観念が強くなりがちな業界の方にはその革新性はあまり理解されなかったが、ユーザーが真っ先に理解を示したことで、ネオンナイトは瞬く間に時代の寵児となった。
そのネオンナイトの流れを受け継ぐロッドがひしめく今、シャローフィネスはその流れの半分を再逆転させる革命児となり得るのかもしれない。本来、スズキ釣りは「曲げて獲る」釣りと「掛けて獲る」釣りの2つに体系化される。ネオンナイトの大成功はこの業界に「掛けて獲る」釣りの偏重をもたらした。シャローフィネスは圧倒的に細いPEラインを使うことを設計条件としている。極細PEはライン強度も小さく、ドラグ設定値も0.9kg~1.2kgくらいとなる。ライン自体に強力な負荷が掛けられないため、ロッドの調子の変化もライントラブルの原因となるので、パラボリックなスローテーパー設計になっている。また、極細PEはリールから放出される際のばらつきも小さいため、バッドガイドからティップまで通常のロッドより小さいガイドを採用している。かつて「曲げて獲る」釣りの全盛期にネオンナイトが「掛けて獲る」時代を切り開いたように、現在の「掛けて獲る」ばかりの時代に「新しい曲げて獲る」釣りをシャローフィネスは切り開いていくのだろう。
[ 閉じる ]

APIA (C)Copyright,2004 Apia Inc. All rights reserved.