松尾 道洋:どんなランカーシーバスにも主導権は一切渡さない
■VANCOOR 92H
1.紹介と特徴

風神ADシリーズに新たに加わるVANCOOR92H(ヴァンクール92H)。類まれなモンスターRODの誕生である。そのスタイルは、とにかく掛けたランカーは全て手元へと手繰り寄せる単純明快なパワーRODだ。

どんなランカーシーバスに対しても主導権は一切渡さない。「これで獲れなければ仕方がない」とは言わせない。これで獲れないシーバスはこの世に存在しない。

秋の潮回り、人知れず河川で行われているシーバスのヘビーカバーゲーム。「剥がす」「止める」というVANCOORのコンセプトを理解した時、まさにアングラーは勝利者となる。

2.開発経緯

干満差の激しい地域で繰り広げられるシーバスのウェーディングゲーム。そのようなエリアではRODに掛かる負荷は魚の抵抗だけではなく、水流は勿論、ルアー単体で見ても流速から受ける引き抵抗は他エリアよりも強く、流されるラインにまでも強い圧力を受ける特殊な環境に置かれている。そういった地域の大きな潮廻りで掛ける秋のシーバスゲームで受ける抵抗力は、当然他エリアよりも俄然大きなものとなる。

干満差で見れば瀬戸内や有明海が特徴的だが、その中でも僕の住む広島は更に特殊な環境下にある。大規模河川が多数存在し、数えきれないほどの橋が掛けられ、全ての河川において河口域でウェーディングが出来るわけだが、僕はずっとこの特殊な環境でシーバスと長年対峙してきた。また、近年は温暖化に伴い、タイリクスズキの分布が広がり、より大型がキャッチされる場面が増えてくるだろう。

ただ硬いだけのRODではキャストフィールも悪く飛距離も出ない。パワーRODでありながら、VANCOORにはあくまでもベターなルアーをストレス無くキャストできるテーパーを求めた。

また、こういったパワーRODはどうしても自重が増しがちだが、やや短めに設定した92というレングスにより、アングラーが受ける負担を極力軽減させている。これは、大規模河川でのウェーディングロッドとしてはショートレンジとも言える長さだが、スイング速度を落とす事なく長時間のキャストが出来る上に、ねじれを軽減させる4軸カーボンの恩恵を受け、ミドルレンジと同等以上の飛距離を得る事に成功している。

3.使い方紹介

有効な場面は、やはり秋の大潮でのカバーゲーム。掛けた瞬間に反転する魚の頭を強引に向かせる際、ベリーが入り過ぎるとそれだけでロスになるのが瀬戸内エリア。僅か数センチの差が橋脚に巻かれる・巻かれないの境目となるために、開発段階からベリー部分には魚とのファーストコンタクトを意識させている。

こういったロスは、今まではアングラーが意識する事で回避してきた部分なのだが、それらを一任する為に造ったのがこのRODである為、VANCOORを信じてドラグをフルロックさせて欲しい。

剥がす・止めるという仕事を終え、カバーから魚をオープンへと誘導してからはドラグを緩めてファイトしても良いだろう。

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